2018年7月18日水曜日

忘れてはならないもの


AIやIoTの時代が急速に進化していく中で、忘れてはならないものがある。
それは、私たちが人間であることです。
当たり前すぎて、何のこと?と言われるでしょうが、このように考えてみると・・・
こうやって、今、この文字を打っている私も、この文面を読んで頂いている貴方も「人間であるという事」は忘れてはならない。


もしかしたら、数十年後のある日は、この文章をAIが読み解いて、他の類似する情報と掛け合わせて整合性を纏めて「完成情報」だけを、貴方は読んでいるかもしれない。そして、驚く事にその情報は、目で文字を読んだり、耳で音声情報を聞いたりするのではなく、AI→IoT機器により発せられた電波を、貴方の頭皮に埋め込まれた受信装置が脳内に伝達するだけなのかもしれません。そして、その時の貴方の年齢は・・・・150歳程度だったら・・・現時点で身体は150歳程度まで延命できるとされているし、脳は200歳程度まで寿命を延ばせるといわれている。
そんな夢物語が現実化される事が目前にある。
デジタルの進化は素晴らしさと、恐ろしさの2面性を持ちますね。


そんなことを考えている時に、こんな記事を見つけました。
万葉文化論を専門とする大学教授の上野誠氏のコラムの文面より
万葉集の研究で知られる上野誠・奈良大学教授(58)は、年間1000通を超える毛筆の手紙をしたためる書の愛好家。/

"大切にしたいのは「身体感覚」だ。「手で書く文章には、その時の呼吸や感情まで込めることができる。今の自分そのものを残し、伝えることになる」。和歌に「今」を閉じ込めた万葉人たちにも通じる哲学だ。論文を書く際も、毛筆ではないがすべて手書き。秘書がワープロで打ち直し、さらに手書きで直しを入れるという。「身体感覚がないものは本物とは言えないと思っているんです」"
リンク↓

このコラムの文面にある「身体感覚のないものは本物と言えない」と言う言葉にハッとさせられました。



書く瞬間に空気が変わる・・
私の父は若かりし頃、書家を目指していたようです。しかし、商売としては別の道を歩み、他界するまで書を趣味として筆は放しませんでした。
その父が亡くなってから気付いたのですが、父の文字はその時の気分や感情で全く違うものに見えたりします。時には紙面より飛び出して来そうにダイナミックな文字もあれば、印刷された様に一糸乱れぬ程に精緻に書き上げたものもあります。
その父が筆を持ち、”今から筆を走らせるぞ”と言う瞬間は、いつもゾクッとする空気に包まれていた事も思い出します。


父が最後にくれた色紙「忠恕」
まさかこの色紙が最後になるとは思いもせず、父に「意味知ってるか?」と聞かれ「知らない」とだけ答えた私でした。

忠恕とは、孔子の言葉です。
自分の良心に忠実であることと、他人に対する思いやりが深いこと。」と言う意味。

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